いわゆるグローバルな視点を持つ子供に育てたかったらしく、
両親は私に、地域や宗教を問わず様々な文化や習慣に触れる機会をくれました。
土台つくりのためでしょう、日本の文化については特にしっかりと学ぶ場を与えられました。
お正月やひな祭りはもちろん、お盆やお彼岸、節分や七夕といった行事もです。
一般的な家庭だとこれらの行事は、例えば送り火や笹を用意したりといった程度で終えてしまうそうですね。
けれども我が家では、毎年近場の神社や地域のお祭りに足を運んだり、
それぞれの時期にちなんだ料理を作ったりと、月に一度の大きなイベントとして扱っていました。
イベントの違い
また、私がはじめに通っていた小学校はキリスト教の学校で、こちらも毎月の行事に力を入れていました。
春にはイースター、秋には収穫祭やハロウィン、そして冬にはクリスマスなど。
週に一度のお祈りも含めると、それこそ数え切れないほどキリスト教の文化を学んだことになります。
もちろん自宅でも、キリスト教に行事について学ぶ場を与えられました。
ヨーロッパの国で伝わる各月のお祝いのお菓子を手作りしたり、小物を作ってリビングに飾ったり。
例えばハロウィンなら、実際にクラウディなどの料理や小さなカボチャのランプを作ったりしました。
言葉で教えるだけでなく実際に五感で体験させてくれため、私も楽しみながら知識を吸収することができました。
新しく公立の学校に転校したときには、カルチャーショックを受けました。
運動会や遠足、学芸会などといった行事を除いて、学校側からは特に何のイベントも行われなかったからです。
運動会や学芸会は1~2ヶ月ほど前から準備を始め、その間はその行事の準備に集中します。
七夕やクリスマスも、それらの行事にちなんだ物を担任が教室に飾るだけでした。
それぞれの祭日間際になって、教室の後ろの方にささやかに置かれた笹や小さなツリーを眺めては、
前の私立学校で行事のたびに行われたおたのしみ会を思い出していました。
当たり前じゃないこと
今まで自分が「当然だ」と思っていたことのほとんどが、新しい学校生活では通用しなくなり、
とても戸惑いました。そしてこの後まもなく、クラスメイトからいじめを受けるようになります。
新しい環境に入ってすぐのこの生活は、本当に辛いものでした。
けれども逆に、これまで全く異なる暮らしをしていたからこそ、いじめを耐えられたのだと思っています。
人によって様々な文化や暮らしがある。
そう理解していたために、たとえクラスメートに冷たくあしらわれても
「みんな一人一人違っているのだから」と心のどこかで思えたのかもしれません。